2024年3月23日 対談「シュルレアリスムと東京・京都」

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ページ番号4001869  更新日 2024年4月2日

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「シュルレアリスムと東京・京都」と題して、福沢一郎記念館の伊藤佳之さん、本展の共同企画者のおひとりである京都文化博物館の清水智世さんにお話をいただきました。前半では伊藤さん、清水さんの順に東京、そして京都におけるシュルレアリスムの広まり、美術学校や画塾、展覧会場についてお話しいただきました。

伊藤さんからはシュルレアリスムの前史として大正期の新興美術運動のこと、続いて本展でも作品をご紹介している古賀春江と福沢一郎の作品の特徴、彼らの影響についてご紹介がありました。
東京の美術教育機関、展示施設については、美術年鑑などをもとに、今回の対談のために作成していただいた地図をお示しいただきつつ、お話を伺いました。
1920年代から40年代にかけての東京のアートシーンが浮かび上がります。

伊藤さんご発表

続いて清水さんからは、東京とは異なる、京都の洋画壇の状況についてご説明いただきました。いわゆる日本画の伝統が根強い京都では、洋画を学ぶことのできる画塾でさえも数少ないものだったようです。そのような中で今回の出品作家である北脇昇、小牧源太郎らは津田青楓洋画塾、須田国太郎らも参加した独立美術京都研究所などに通いました。その京都でも巴里新興美術展覧会、海外超現実主義作品展が開催され、シュルレアリスムに影響を受けた作品が生まれたのです。

清水さんご発表

後半の対談では、2つの都市の画家たちの交友について話が広がりました。
北脇と小牧は京都に拠点を置きながら、福沢が率いる美術文化協会に出品し、展覧会が行われるごとに上京しています。ここでは、戦後に福沢が小牧、北脇の作品、人柄について回想する文章をご紹介いただき、京都の2人の画家たちの特異性のみならず、共有していたものなどを確認することができました。

シュルレアリスムをめぐる2つの都市の画家たちのお話は尽きることはなく、今後も様々な切り口から研究ができそうです。

伊藤さん、清水さん、ありがとうございました。

対談の様子