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2014.12.07

イエラ・マリ展 作品紹介5

 

イエラ・マリ展では、絵本原画の他に試作も展示しており、これらはイエラの制作の過程を垣間見ることができる貴重な資料です。
『りんごとちょう』『たべちゃうぞ』『あかいふうせん』『木のうた』の4作品については、しっかりとしたダミー本(試作本)が残されています。
写真は『たべちゃうぞ』のダミー本。マーカーで丁寧に色を塗った完成度の高い試作です。出版された絵本と同じようにページをめくるごとに動物たちが連続しています。しかし出版された絵本はハードカバーなのに対して、ダミー本はリング綴じで表紙もありません。絵本のフォーマット自体が、終わりのない循環をよく表しています。

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『たべちゃうぞ』のコンセプトをもとに、デザイナーの駒形克己さんが考えてくれたのが、展示室ロビーのこの大きなディスプレイです。
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2014.12.07

ひよこ・たぬきアトリエ「かおのカード」

本日、ひよこ・たぬきアトリエ「かおのカード」が開催されました。
講師は、デザイナーの駒形克己さんです。

目と口にあたる部分に穴のあいた白いカードが配られ、そこに色紙を貼ったり絵を描いたりしながらカードを作ります。

参加された皆さんは、顔にこだわらず、動物や乗り物などいろいろなものに見立てていました。
クリスマス前ということもあり、サンタクロースやトナカイ、もみの木などを入れている方も多かったです。

また今回も、お子さんだけでなく、お父さんやお母さんも制作され、楽しいカードがたくさん完成しました。

最後に、一人一人作品を発表しましたが、色や形もユニークで楽しい発想のものが多くて感心してしまいました。

お風邪気味で少々元気のない駒形さんでしたが、作品発表の際は、ひとりひとりの作品を
とても楽しそうに見せていました。

「紙」は、脆く弱い素材でもあり、またそれを切ったり貼ったりするのは手間のかかる作業ではありますが、敢えてそういうものと向き合いながら、ものを大切にする気持ちを養ってほしいと、駒形さんは最後に仰っていました。

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2014.12.07

絵本研究会「字のない絵本を考える」

本日は、絵本学会と当館の主催で絵本研究会「字のない絵本を考える」が開催されました。現在開催中のイエラ・マリ展の会場の一角には、特別展示として、「字のない絵本コーナー」があり、各国の字のない絵本を約120冊ほど紹介しています。この選書にあたり、絵本学会の笹本純先生(筑波大学教授)、山本美希さん(漫画家)、宮崎詞美先生(横浜美術大学准教授)のみなさんにご協力いただき、4つのカテゴリーに分けて展示しています。こうした経緯があって、今回の絵本研究会の開催の運びとなりました。

研究会では、笹本先生の司会進行で、今井良朗先生(武蔵野美術大学教授)と山本美希さんにそれぞれお話しいただきました。前半の今井先生のお話では、本展における4つのカテゴリーを手がかりに、字のない絵本をたくさんご紹介いただきました。字のない絵本は、必然的に読み手が積極的にかかわることになります。たとえば、子どもたちと一緒にイエラ・マリの『あかいふうせん』のページをめくると、子どもたちは自分からどんどん発言をするのだそうです。そして写真は、ブルーノ・ムナーリの「読めない絵本」をご紹介くださっているところ。ムナーリは「見せるのではなく語りかけなければいけない」と言っていたそうですが、それは字のない絵本の本質をも突いているようです。

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後半は、山本美希さん。ご自身も字のない絵本(マンガ)を手がけていますが、字のない絵本の研究もしていらっしゃいます。今回は、山本さんが収集した「字のない赤ずきん絵本」をご紹介いただきました。中には、記号的な描写や現代的なアレンジを加えたものなど、斬新で実験的な表現も見られます。それらは、誰もが知っている「赤ずきん」だからこそ可能なのでしょう。また、複数の解釈を促すような赤ずきんも登場し、字のない絵本の幅広さを知ることができました。

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13時半から16時までという長丁場でしたが、多くのみなさんにお越しいただきました。ありがとうございました。(約100名参加)

お天気に恵まれましたが、風が強くていよいよ冬本番。どうぞ風邪には気をつけて!

 

2014.12.04

小学校鑑賞教室

小学生のための鑑賞教室を開催しました。今日来てくれたのは5年生と6年生です。
まずは美術館のスタッフと一緒に絵本を見ながら、展示室をめぐりました。「あかいふうせん」をめくると、どんな形へ変わっていくのか次々に想像してくれましたし、「たべちゃうぞ」を見れば、循環するというイエラの絵本の特徴にもすぐに気づいてくれました。字のない絵本なので、イタリアの子どもたちと同じように絵本を楽しんでくれたようです。

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鑑賞の後には、制作の時間も設けました。6年生は「あかいふうせん」を参考に、形と色を使った3場面絵本の制作。5年生は「とおもったら・・・・・・」を参考に、葉っぱから始まる「形しりとり」のじゃばら絵本の制作。
盛りだくさんの内容で1時間半ほど美術館で過ごしてもらいました。鑑賞と制作を組み合わせた今日のプログラム。友だちと絵について話したり、展覧会の中からヒントを見つけたりできましたか?
展覧会を見る時間が足りなかった、という子たちは、またぜひ見に来てくださいね。

板橋区立美術館は、土曜日は高校生以下のみなさんは無料で観覧できます。ぜひご利用ください。

2014.12.03

菊池亜希子さんとイエラ・マリ展

MOE3月号(2/3発売)「菊池亜希子の絵本のおはなし」の撮影が、板橋区立美術館のイエラ・マリ展会場で行われました! 写真は撮影終了後の菊池さん。展覧会図録を手にしていただきました。

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2014.12.03

まあるいサイコロ?

イエラ・マリ展の会場には、駒形さんデザインのディスプレイがあります。写真は、イエラの『まあるいまあるい』をモチーフにした、子どもが遊べるサイコロ。2人の男の子が、絵柄を揃えたり、積み上げたりしながら遊んでいました。サイコロの配置は日々変わります。
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2014.12.03

イエラ・マリ展 作品紹介4

この作品紹介2・3でご覧いただいた写真のとおり、イエラ・マリの原画はモノクロで描かれたものが多く、たとえば『あかいふうせん』(1967年)も、原画だけ見ると「黒い風船」なので、ちょっとびっくりするかもしれません。

あかいふうせん

印刷所に原画を渡す際には、トレーシングペーパーを原画の上にかぶせ、どの部分を何色で印刷するか指示を書き込みました。展覧会場ではトレーシングペーパーを重ねた状態の原画も少し紹介しています。写真は、『たべちゃうぞ』(1980年)の一場面。トレーシングペーパーには、トラの頭部を色分けして印刷するよう指示が書き込まれています。

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モノクロで描いて色を指定して印刷するという手法は、ディック・ブルーナが「うさこちゃん」を描くときにも使っています。ハッキリと色や輪郭線を印刷することができます。

2014.12.02

イエラ・マリ展 作品紹介3

もうひとつ、イエラ・マリの原画のをじっくりとご覧いただきます。

あかいふうせん

これは、『あかいふうせん』(1967年刊行)の、りんごが木から落ちた場面。
下の方には、なにやらかわいらしい生きものたちが・・・

 

あかいふうせん部分

たとえば、フンコロガシの一生懸命な姿。
イエラが描くなめらかなカーブは、ゆがむことも、途中で途切れることもありません。
まだパソコンの普及していない時代の仕事です。

 

2014.12.02

イエラ・マリ展 作品紹介2

イエラ・マリ展では、8冊の絵本の原画を展示しています。
さて、この写真は、ある絵本の原画の一部分です。わかりますか?

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非常に細い描線を、丁寧に重ねて描いているのは・・・・

 

ちょう(蛾)の羽化の場面です。全体がこちら。『りんごとちょう』(エンメ出版より1969年刊行、エンツォ・マリとの共作)の原画です。
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イエラの原画は、見れば見るほど、その職人技とも言えるような描写に驚かされます。
会場で、ぜひゆっくりと、じっくりと、ご堪能ください。

2014.12.02

イエラ・マリ展 作品紹介1

イエラ・マリの最初の絵本は、エンツォ・マリと共作の『りんごとちょう』です。1950年代末、幼い2人の子どもたちのために作った字のない絵本です。りんごとちょうの成長と世代が受け継がれていくことを描いたこの絵本には、ふたつのバージョンがあります。

最初のバージョンは、ミラノのボンピアーニ出版から1960年に刊行された小さな判型のもので、正方形の場面が続いていきます。リング綴じで表紙もないため、絵本の形態そのものが、始まりも終わりもない循環をよく表しています。(写真はケースとともに)
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もうひとつのバージョンは、ミラノのエンメ出版から1969年に刊行されました。こちらはハードカバーですが、表紙や見返しにも、場面が途切れることなく続いています。また、こちらは見開きの横長の場面となっています。
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イエラ・マリ、エンツォ・マリ『りんごとちょう』Emme edizioni
La mela e la farfalla ©1969, Iela et Enzo Mari ©2004, l’école des loisirs for the World Rights

現在流通しているのはエンメ版と同じ形の絵本ですので、『りんごとちょう』といえばこちらがよく知られています。ボンピアーニ版は、当時としてはあまりにも斬新な絵本だったため、商業的には成功せず、版を重ねることもなかったようです。

展覧会場では冒頭に2つの絵本を並べていますので、ぜひご覧ください。