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イラスト Copyright (C) 2003-2004 Taro Miura 三浦太郎が行く ボローニャ探訪記
[1] いざ、ボローニャへ
 今年のボローニャ行きは、1本の国際電話から始まった。「太郎さん入選よ、おめでとう!」と板橋区立美術館の松岡さん。うれしいと同時に、またボローニャに行くことがあれば絶対にやろうと思っていたことが頭の中をぐるぐる回った。1つは会場の掲示板に自分のポスターを貼ること。2つ目は自分をアピールするために、ぼくのイラストが入ったTシャツを作ろう。最後は、2年間Eメールでやり取りしてきたスペインの出版社、メディア・ヴァッハの編集者ヴィセンテとその奥さんベゴーナに再会してもっと話をしたい。というもので、早い話がボローニャの見本市を思いっきり楽しんでやろうということなのです。
photo  ローマからユーロスターで約3時間、時差ボケもなおって体調も万全、いざ、見本市へ! まずゲートをくぐって真先に見えるのが原画展の会場。ひさしぶりに自分の絵と対面したが、感動にひたるまもなく、他の入選者の作品が気になってしかたがない。今年の原画展も面白い!

[2] 2年ぶりの再会
photo  原画展をおおいに堪能したあと、のんきに図録をペラペラやっていて思い出した。「掲示板にポスターを貼らなければ!」、しかし見て驚いた。まだ初日の午前中だというのに手作りのポスターやポストカード、名刺などがぞくぞくと貼られているではないか。自分のポスターを貼るスペースはほとんどなく、手の届かない場所しかのこされていない。しかたがないので、近くにあったゴミ箱を踏み台にしようとすると、まわりの人たちが何も語らずにそのゴミ箱を支えてくれた。どこの国の人か知らないが、グラッツェ! ありがとう! 無事一番高い所に貼れました。
photo  1つ仕事を終えた気分で見本市内のセルフレストランで食事。初日の見本市はとても慌ただしく、作品を売り込むようなムードでもないので、スペインの出版社メディア・ヴァッハのブースに向かった。ベゴーナがぼくのことを見つけて「タロ〜!!」と陽気にハグをした。ボローニャに来て自分を迎えてくれる人がいることにとても感動。ヴィセンテはのそ〜っとやってきて、「Do you study English?」と微笑んだ、ぼくは「No」と明るく答え、お互い笑いながら堅い握手を交わした。

photo [3] 今年のメイン・イベント
 今年は編集者を紹介してもらえたので、自分の作品を6社の出版社に見てもらうことが出来た。なかでも「わたしの考えているストーリーに絵を付けてみない」と言われたりして、なかなかの手ごたえありといった感じ。
 2年前に来たときは、この売り込みがメインだったが、今年はなんといっても見本市3日目に行われる入選者授与式! 入選イラストレーターが一堂に会する機会ができたのです。そこで登場するのが、手製のイラストTシャツ。これのおかげでサインを求められたり、写真を撮られたりと効果は大でした。
photo  授与式のおかげで、今回の原画展でぼくが1番気に入った作品を描いたマルタ・ミエルタルスカさんとお話することもできました。ポーランドの作家で、偶然にも展示も隣どうし。さらにぼくと同じ2色展開のイラストなので、マルタさんもぼくの作品がとても気になっていたそうです。2人で写真を撮りあい、連絡先を交換しました。とてもきれいな人だったのでマルタさんもポーランドもとても好きになりました。

イラスト Copyright (C) 2003-2004 Taro Miura [4] ボローニャの夜はコッケコッコー!?
 3日目の夜メディア・ヴァッハの主催する食事会に招待されました。集まったのはヴィセンテを慕うイラストレーター15名ほど。これだけ違う言語の人間が集まると、共通の言語はやはり英語。みんなそんなに上手くはないがとにかくよく喋る。そんななか、ヴィセンテが始めたのが言葉遊び。ニワトリの真似をしてをして「ココリコ、おまえの国では何て言う」。「日本ではコッケコッコーさ」とぼくが言うと、みんなが真似して「コッケコッコー」となる。こんな感じで各国の犬、猫、牛などなど、これだけでもかなり面白いのだが、ぼくがスペイン語で居酒屋は「タベルナ」なのに、日本語では「食べるな」だとしゃべったのがきっかけで話はさらに複雑化。
photo  ヴィセンテは、イラスト辞書を出版したしたことで、言葉の発音や意味が世界の国々でどのように変化していくのかということに、さらに興味を深まったという。食事会のできごとのように、彼のこんな遊び心から、また新しい絵本が生まれていくのだろうと強く感じた。ちなみに、この言葉遊びは深夜まで続いたのでした!

イラスト/題字/写真/文 三浦太郎


この内容は、季刊みずゑ2003年夏号(07)を転載しています。


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