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2015.07.30

夏のアトリエ3日目

夏のアトリエも中日。2日目の終わりに与えられた課題について、参加者のみなさんは色々と考えてきたようです。中には、朝早くから来てアイデアを練る人もいました。
最初にクラースさんから、ストーリーボードを作る際の具体的なアドバイスがありました。そして自身の絵本を例に、構図の工夫や暗示や繰り返しの取り入れ方やその効果について詳しくお話くださいました。クラースさんによれば、作者はそれぞれの絵本の「ボス」であるとのこと。お話の展開や描き方次第で、絵本がどのように読まれるか変わるのです。

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その後、クラースさんと森泉さんが参加者のアイデアを丁寧に見てまわりました。クラースさんはそれぞれのストーリーを理解し、物語の展開や構図などについても具体的な助言を与えます。ときには面白いアイデアに大笑いしたり、うーんと一緒に悩んだり。
難しい課題を前に、それぞれアイデアを固めるだけでも時間がかかります。そこで締め切りを延ばすことにして、明日のみんなの進み具合を見て新たに時間を設定することになりました。
パラドックスがテーマの今回の課題。タイトルは7つの中から選び、ページ数も決まっているし、使える色も黒と1色だけ。さらに時間も限られています。でも、制限があることでむしろ創造性が発揮されることもある、とクラースさん。
明日は4日目。どんな作品が出来上がるのか楽しみです。
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2015.07.30

夏のアトリエ2日目

7月29日、夏のアトリエ2日目は、昨日発表された課題をお昼までに仕上げます。暑い中、当館まで通うだけでも大変だと思いますが、制作のために早めに来る参加者もいます。締め切りまでに完成させるというのも、イラストレーターにとって大事なこと。クラースさんに相談し、アイデアを固めたら、それぞれの技法で描き始めます。
午後、完成したイラストレーションを壁に並べました。それまで必死に自分の制作をしていた参加者のみなさんですが、ようやくお互いの作品をゆっくり見る時間ができました。クラースさんは、イラストレーターはなぜ自分がこのように描いたのか説明ができなければならないと言います。イラストレーターは、アイデアや色や構図など無数の可能性の中から、自分で取捨選択をしながら描いていくものだからです。今回の課題も、なぜこのように描いたのか、一人一人コメントをしてもらいました。自分の作品について説明するのも、他のイラストレーターの説明を聞くのも、普段の仕事ではあまりない機会かもしれませんね。クラースさんも、短時間でみなさんがレベルの高い作品を仕上げたことに驚いていました。
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その後、次の課題が与えられました。パラドックス(矛盾)をテーマに、クラースさんが7つの言葉をホワイトボードに書き出します。丸い四角、乾いた雨、沈黙の音・・・。これらの中から1つをタイトルに選んで、3日目の夕方までに1冊の絵本を作るというもの。本の形は自由ですが、文字がないことやページ数や色数などには制約もあります。参加者のみなさんは、大きな課題に少し不安げな様子でしたが、きっと3日目にはさまざまな作品が出来上がることと思います。

今回、夏のアトリエのハードな通訳を引き受けてくださったのは、森泉文美さんです。イタリア在住で、ボローニャ展やイエラ・マリ展などでコーディネーターもされています。英語もイタリア語も堪能で、これまでに何度も夏のアトリエの通訳を務め、講師と参加者の間をつないでくれました。森泉さんは、美術史や技法にも造詣が深く、講師と相談しながら夏のアトリエを引っ張ってくれています。
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2015.07.30

夏のアトリエ1日目

7月28日、イラストレーター向けの連続講座「夏のアトリエ」が始まりました。毎年夏に開催するこの講座、今年で18回目となります。今回の講師は、ベルギーのイラストレーター、クラース・フェルプランケさんです。クラースさんは、たくさんの絵本をヨーロッパやアジアで出版していて、自らお話を手がけることもあります。また、アントウェルペンの美術学校で教鞭を取り、さらに世界各地でワークショップの講師もされ、指導者としても活躍しています。この猛暑の中、初めて日本に来てくれました。

1日目の朝、どんな5日間になるのか、どんな講師や仲間に出会えるのか、参加者たちは緊張の面持ちで集まりましたが、クラースさんの優しく明るい話しぶりにみなさん少し安心した様子でした。まず、クラースさんは自分のキャリアや作品を紹介し、その後、イラストレーションとは何か、そしてイラストレーターが考えるべきことなどを、写真や映像を交えて具体的にお話くださいました。ホワイトボードには、イラストレーション制作にあたっての実践的な15のポイントを板書。自らもイラストレーターのクラースさんですが、知的な思考方法を分かりやすく整理して説明してくれます。
午後には、ベルギーを代表する画家マグリットの作品を分析することで、4つの言葉が導き出されました。メタモルフォーゼ、パラドックス、コンテクストの置き換え、暗示。これらは、ワークショップにおいても重要なキーワードとなるようです。
そして最初の課題が始まりました。参加者は5枚の紙にひとつずつ何かを描き、全員の紙を集めて混ぜたら、一人ずつ目をつぶって5枚引いていきます。各参加者の手元には、まったく脈絡のない5つのもの。課題はメタモルフォーゼ。5枚の中からいくつかを組み合わせて1枚のイラストレーションとして2日目のお昼までに完成させるというもの。クラースさんは一人一人の机を回り、丁寧にアドバイスしたり一緒に考えたり。一方、参加者のみなさんも沢山のアイデアをスケッチブックに描いていきます。

参加者は、20代の美大生からイラストレーターやデザイナーとして仕事している方まで、年齢もキャリアもさまざまですが、講師や仲間からたくさん刺激を受けて、たくさん吸収したいという思いは共通しています。厳しい暑さが続きますが、実りある5日間となりますように!

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2015.07.28

対談「日本とイタリアの少年刑務所の中で」

7月26日(日)には、作家の寮美千子さんとデザイナーの駒形克己さんにお越し頂き、それぞれが少年刑務所で行っているプログラムやワークショップについてお話いただきました。
駒形さんはボローニャのプラテッロ少年刑務所で、2007年からこれまでに6回にわたり造形ワークショップを行っています。いずれも、ひとりで何かを作るのではなく、他の参加者と関わり合いながら進めていくものです。駒形さんがご自身の作品制作や活動において大事にしている「経験を共有する」ということは、少年たちとのワークショップにおいても同じとおっしゃっていました。
一方、寮さんは、奈良少年刑務所の「社会性涵養プログラム」のひとつ「物語の教室」の講師を2007年から務めています。全6回の授業で、少年たちは絵本を声に出して読んだり、詩を作って発表したりします。少年たちは、自分が一生懸命紡いだ言葉を、仲間がしっかり受け止めてくれるという経験によって、閉ざされた心を開いていくのだそうです。少年たちの詩を紹介しながら、プログラムを経て変わっていく少年たちの様子をお話くださいました。彼らの言葉は、詩の上手・下手という物差しとはまったく関係なく、仲間に受け止められることによって魂を表す「詩」の言葉になる、というお話も印象的でした。
最後には駒形さんが、大人が子どもと関わる際、子どもたちをひとつの枠にはめてしまうのではなく、ひとりひとりの違いを認めてそれぞれの個性と向き合いたいとお話され、寮さんも深くうなずかれていました。
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2015.07.25

しかけ絵本をつくろう3日目、最終日

本日、「しかけ絵本をつくろう」の最終日となりました。

中面を仕上げたら、製本して完成です。

早く出来上がった子も多く、暑中お見舞いなどのカードを作っていました。
今回習ったしかけをしっかり応用していて、さすがです。

そして最後は発表会。

たくさんの力作が完成しました。

おうちでも素敵なしかけ絵本やカードをつくってくださいね。

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参加者の作品より。フライパン型の絵本です!

 

 

 

2015.07.25

ボローニャ国際絵本原画展の図録

今年からボローニャ展の図録は、透明のカバー付きのデザインに変わりました。表紙の絵は、昨年の国際アンデルセン賞画家賞を受賞したホジェル・メロさんによる描き下ろし。
各入選作品と作家は見開き2ページで紹介しており、拡大図版もあるので細かな描写や筆のタッチなども見られます。
さらに5人の審査員へのインタビューでは、審査のポイントだけでなく、それぞれの絵本作りにたいする考えや、児童書を取り巻く様々な問題にも切り込んでいます。
なお本図録は、イタリアのコライーニ社で作成したイタリア語・英語版図録を日本語訳したものです。コライーニ社は、ブルーノ・ムナーリをはじめデザインやアートの本を出版していることでも有名です。

1冊2500円、展覧会場で販売中です。

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2015.07.23

しかけ絵本をつくろう2日目

今日は、「しかけ絵本をつくろう」の二日目。
昨日に引き続き、みんな着々と、集中して制作を進めている様子でした。

しかけのサンプルを先生がたくさん用意してくださっているのですが、
それを見ながら、「これ作ってみたいけど、どうやるの?」と質問してくる子もいて、
とても意欲的です。

細部まで描き込んだり、しかけ部分の隅っこにまたちょこんと小さいものがのっかっていたり。細やかな表現は女の子ならではかもしれません。可愛らしい作品がたくさん出来上がっています。

すでに完成した子も何人かいて、余った時間で暑中見舞いのグリーティングカードを作っていました。

あさって土曜日は、いよいよ最終日。表紙を描いて、製本したら完成します。
その後の作品発表会も楽しみです。
お友だちやご家族にも、すてきな作品を披露しましょう。

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2015.07.23

特別展示カタリーナ・ソブラル

今年の特別展示は、ポルトガルの若手イラストレーター、カタリーナ・ソブラルです。本展では、スペインで刊行された新作絵本「人魚と恋をした巨人たち」の原画をすべて展示し、さらにこれまでに手がけた4冊の絵本から原画を紹介しています。
下の写真は新作絵本の表紙と展示中の原画。どの場面もクレヨンで描かれ、鮮やかな色が印象的です。
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「人魚と恋をした巨人たち」(Ediciones SM, 2015)

言葉や時間などをテーマにしたユニークなストーリーも自ら手がけ、それに合わせてさまざまなスタイルで描いています。作品によってパソコンやコラージュを使うなど技法も多様です。

カタリーナさんは昨年のボローニャ展に入選し、さらに若手作家に与えられる「ボローニャSM出版賞」を受賞し、注目を集めています。今年ようやく30歳のカタリーナさん、これからの活躍も期待されます。若い才能を見つけることができるのもボローニャ展ならではの楽しみです。

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2014年のボローニャ展入選作品「ぼくのおじいちゃん」( Orfeu Negro, 2014 )

2015.07.22

しかけ絵本をつくろう1日目

本日より、小学生対象の絵本講座「しかけ絵本をつくろう」が始まりました。
講師は、グラフィックデザイナーの岡村志満子さんです。岡村さんはデザインの仕事と共に、絵本の制作もされています。

最初に、岡村さんの絵本『サンドイッチいただきます』の読み聞かせから始まりました。
ページをめくるたびに、トマトやきゅうりなどの野菜や具が重なり、最後にサンドイッチが完成する、しかけ絵本です。みんなまだ緊張しているのか、静かに聞き入っていました。

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次にいよいよ、制作へ。
絵本のしかけを2種類と表紙を練習したら、色画用紙を選んで本制作に入ります。

みんなとても呑み込みが早く、あっという間にしかけを覚えて、どんどん作り始めていました。

今回のテーマは、「本の形をかえてみよう」
本屋さんに並んでいる本はだいたい四角い形をしていますが、従来の型にとらわれずに表紙の形を考えてみようというものです。

先生のサンプルは、お家や魚の形でしたが、子どもたちも負けずに、ハートやりんご、フライパンなど、さまざまな形をあっという間に作り、細かいしかけを考えていました。子どもならではの発想とその柔軟性には感心するばかりです。

そして今回の参加者はなぜか全員、女の子。
色や形など、とても可愛らしく、ディテールに凝っている子が多い印象です。

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早くも仕上がりが楽しみです。あと二日間、がんばりましょう。

2015.07.19

渡邊智子さん・渡辺美智雄さん 講演会

本日はイラストレーターの渡邊智子さんと渡辺美智雄さんにお越しいただきました。お二人はご夫婦で、智子さんは今年、美智雄さんは2009年・2011年・2014年にボローニャ展にそれぞれ入選し、入選のたびに揃ってボローニャを訪れています。お二人は、ブックフェア会場で売り込みをするほか、市内でグループ展を開催するなど、ボローニャ・ブックフェアという場で様々な形で積極的に活動しています。
関西ご出身のお二人は、西宮でボローニャ展をご覧になっていたそうですが、後にイラストレーターとしてキャリアを積み、2001年に板橋区立美術館にボローニャ展を久々に見に来てくださったそうです。この時の来館が、美智雄さんの応募のきっかけになったそうです。また智子さんは、板橋区立美術館の夏のアトリエなどに参加した経験から、大きく意識が変わったとおっしゃっていました。
本日はたくさんの写真によって、お二人がいきいきとボローニャで活動する様子や、さらに入選作品が出来上がるまでの妥協をしない制作姿勢も伝わってきました。
控え目なお2人ですが、イラストレーターとして長くお仕事を続けてきた積み重ねが支えになっているそうです。大勢の前で話をするのは得意ではないとおっしゃっていましたが、お二人の息の合ったお話と穏やかな人柄のおかげで、とても和やかな雰囲気の講演会となりました。
台風が過ぎ、夏も本番。暑い中でしたが、多くのみなさんにお越しいただきました。ありがとうございました。(聴講約70名)

 

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